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賃借人の修繕権と賃貸人の明け渡し請求権・・・     現行民法と改正案

近年、日本各地で地震がおこり、災害に対する対策で、
老朽化した賃貸物件の建替えを検討している貸主が増えてます。
現在空家であれば貸主のタイミングで修繕や建替えができますが、
賃貸中の物件ではそうはいきません。
この場合、賃借人への明渡し請求は可能なのでしょうか。

現行民法と改正民法の違いと対応策をご紹介いたします。

※借地借家法28条は建物の賃貸人による更新拒絶や解約の申入れは、
建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情、建物の賃貸借に関する従前の経過、
建物の利用状況及び建物の現況や立ち退き料の提示を考慮して、
正当事由が場合のみすることができるとしているため、
老朽化を理由に明渡は難しいのが現状ですが、東日本大震災後、
耐震性能の欠如を主張した場合にそれを正当事由として認める裁判例も増えております。

現行民法の場合は

賃貸人は、雨漏り等の賃貸借契約中に賃借人の生活に直ちに影響を及ぼす部分については、
修繕義務を履行する必要がありますが、賃借人からの耐震性能を指摘され、耐震補強を請求されても、
賃貸人はこれを拒絶することができます。そして、賃借人は修繕権がないため、
賃借人自ら耐震補強をすることはできません。
そして、賃貸人は耐震性能がないことを正当事由のひとつとして契約を終了するという主張ができました。

改正民法の場合は

改正民法では賃借人の修繕権が認められます。
「賃借物の修繕が必要である場合において、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、
又は、賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしない場合、
②急迫の事情があるとき
。」

※この場合、耐震補強工事が修繕にあたるかは、まだなんともいえないものではありますが、
解釈によっては修繕権の範囲とされる可能性はあります。

そして、現行民法の場合と違いで大事なのが、賃借人が自ら耐震補強工事※をすれば、
賃貸人は、耐震性能がないことを正当事由のひとつとして主張できなくなるということです。

ここで対応策ですが、
賃貸借契約の中で、「耐震工事等躯体に関する大規模工事にあたる工事は、ここでいう修繕等にあたらない」等
修繕権の範囲を限定する合意を締結しておくことが良いかと考えます。


このブログ記事について

このページは、大和住宅株式会社が2016年4月29日 14:48に書いたブログ記事です。

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